濁った僕を抱きしめて

拓海くんが重い物と聞いて思いつくようなものを玄関のドアの前に置いていく。


既に警察がドンドンとドアを叩いているけど、それでも少しは防げるだろう。


片手に銃、もう片方の手は拓海くんと繋いだ。


気づかれないように静かに窓を開け、誰もいないことを確認するとわたし達は闇に駆け出した。


ああ、わたしの嫌な予感は当たってしまった。


一回家を出てしまった以上、もうあそこには戻れない。
明日もカレーを食べられるかと思っていたのに、そんな些細なことは叶わなかった。


どこに向かっているのか分からないまま走る。


息は不思議と苦しくない。


すべての呼吸が夜の空に吸い込まれてしまいそうだった。


ーーどうか、わたし達を見逃して。


いるのか分からない神様に何度目かになる願いを放った。


今日の空には、どんな星が瞬いているのだろうか。
それを見る時はどうか来ないで欲しい。