濁った僕を抱きしめて

家族も友達も勉強も、もうどうだっていいです。


だから、この人だけは奪わないでください。


顔が近づいていって、唇が重なる。
このふたりで吸った空気を、ずっと心の中に閉じ込めておきたい。


そうでもしておかないと、拓海くんをわたしの中に残しておけない気がした。


何度も何度も唇が重なって、わたしはソファに押し倒される。


そんなムードの中インターホンが鳴って、雰囲気を華麗にぶち壊していった。


「わたし、出てきますね」


映し出された人物を見て息が止まりそうになった。
わたしは応答せず、拓海くんの方に走っていく。


「拓海くん、警察です、どうしたら」


拓海くんは何も言わず、突っ立っていた私を押し退けるとボストンバッグの底にしまわれていた銃やナイフを取り出した。


「逃げるよ璃恋。荷物は一旦捨てて」


玄関は警察に塞がれてしまっているので、靴を取って窓から逃げることにした。