濁った僕を抱きしめて

「もう、拓海くん毎回汚してますよ」

「汚してない、濡らしただけだって」

「だからそれをやめてくださいって言ってるんです」

「別に良いじゃん、水だし」


拓海くんがそう言うなら良いかと思って言い争うのはやめにした。
わたしはいつも通り小さなショルダーバッグを肩にかける。


「買い物?行ってらっしゃい」
「行ってきます。何か食べたいものはありますか」


特にない、と答えられたから適当に買ってきますと言って家を出た。
前のアパートと近いからか、なんだかあの頃に戻ったような気がする。


勿論同じところには戻れないけど、遠回りに遠回りを重ねてやっと近いところに帰って来れたような、そんな感覚。


スーパーに行って食材を買う。
そうだ、久しぶりにカレーにしよう。
初めて拓海くんに手料理を振る舞ったとき、作ったのがカレーだった。


それからというものカレーを出すと拓海くんは毎回喜んで食べた。