濁った僕を抱きしめて

璃恋に嫌いだなんて言われたのは初めてだった。


それは俺にとっての強烈な一発となって、身体の中にずっとあった気持ち悪さがすぅっと抜けていった。


「だから、もう悩まないでください。どうせ死ぬんですから、気持ち悪いくらい堂々としててください」
「それはそれで嫌なんだけど」


璃恋が笑った。
ぽろりと涙が一粒落ちていく。


「これ嬉し泣きですから。そういうことにしてください」


あぁ、ほんと、強い人だ。


そんな璃恋だから好きになったんだっけ。


それ以外にも理由はある気はするけれど、今はそれしか目に入ってこなかった。


俺はハンドルに置いていた手を右手から左手に変えて、右手で瞳を拭った。


別に悲しくて泣いている訳じゃない。


これは、嬉し泣き、だから。