濁った僕を抱きしめて




2



「殺して欲しい、って言ったらどうしますか」


途端に頭を抱えたくなった。


この前から璃恋にそんな内容の事を言われることが多くなった。


俺が死ぬ事だけが動かせない事実になっている中、どうしたらいいか揺れ動いているんだろう。


出会った頃ならその願いを受け入れていた。
出会った、頃なら。


今は違う。


今は璃恋に生きて欲しくてたまらない。
俺が奪ってしまった幸せの分まで、璃恋には生きて欲しい。


だから、俺は璃恋を殺さない。
いや、殺せない。


「何それ。そんなこと言うなよ」


そう言うと璃恋は分かりやすくそっぽを向いた。
前から璃恋はそうだ。
すぐ顔に出る。


不機嫌な時も、嬉しい時も、悲しい時も、怒ってる時も。


ふと駅前で璃恋の友達に会った時のことを思い出した。


その友達は表情豊かで、そんなところが羨ましいんです、なんて言っていたっけ。