濁った僕を抱きしめて

こちとら封の空いた駄菓子を持っているというのに、全く気遣う素振りがない。


アパートに戻れば、ふたりともヘロヘロだった。


「なんで走るんですか、わたし体力ないのに」
「そっちこそ、追いついてくれれば止まったのに」


ふたりしてよく分からない言い訳だ。
顔を見合わせて笑った。


ーー普通の子みたいだ、わたし。


ずっと「普通」にはなれないと思っていた。
生まれた環境というたったひとつのことがすべてを変える。


どれだけ善い行動をしてもわたしは「普通」にはなれない。
そう思っていたのに。


ーーこの人といる時だけ、わたしは「普通」になれる。


馬鹿みたいに走って、息が苦しくなって。
苦しいのに、全く苦しくなくて。


まるで昔から知っているような懐かしさが、そこにあった。