濁った僕を抱きしめて

だってきっと、ふたりで一緒に生きられる未来はない。





『……拓海くん、もし捕まったら、拓海くんはどうなるんですか』


逃げることを決めたあの日、ぽつりとこぼした。


『そうだなぁ、死刑じゃない?』


言わないで、と願った言葉を、拓海くんは当たり前のように言った。
指名手配されるくらいだ。きっとそうなる。


でも、心のどこかで違うんじゃないかと思う自分がいた。


『そんなの、わたしはどうしたら』
『大丈夫、なるようになるさ』


そう言って頭を撫でてくれた。
拓海くんから頭を撫でられるのは大好きで、いつも安心できたはずなのに、どうにも落ち着けない。


拓海くんがいない未来でわたしはきっと生きていけない。
こうして誰かに愛されることを知ってしまったら、もうあの頃には戻れない。


拓海くんだって分かってくれていると思っていた。


わたしは拓海くんと一緒にいなきゃダメなんだと、気づいた上で逃げようとしてくれているのかと思った。