濁った僕を抱きしめて



がたん、と車が段差に乗り上げる衝撃で目覚めたように思った。
車は見知らぬ家に到着していて、あとは駐車するだけ。


「大丈夫?なんかうなされてたけど。悪い夢でも見た?」


そう話す拓海くんはいつもの拓海くんで、さっきのは夢だと言うことを自覚した。


「……わたし、寝てたんですか?」
「うん、かなり長く。よし、駐車完了。到着」


どこまで起きていたのか全く記憶がない。
サービスエリアを出て三十分ほどは起きていたような気がするのだけれど。


立ち上がろうとして身体に力が入らず、すとんと座席に逆戻りしてしまう。


「どうした、怖い夢だった?あ、それとも酔った?ごめん俺結構飛ばしてたかも」
「いや、酔ってはないんですけど。夢が割と怖くて」


拓海くんが車を降りようと開けていたドアを閉め、わたしの方に向き直る。


「どんな夢だったの?嫌だったら話さなくて良いけど」
「なんか、拓海くんが拓海くんじゃないみたいな夢で」