分からないけれど、拓海くんと一緒ならどこだって良いと思った。


車が高速道路に入る。
わたしは窓を開けた。


わたし達は今、大きなものから逃げている。
それは罪を認めることになるのかもしれない。


逃げた先には何が待っているのだろうか。


幸せ?
それとも不幸?


わたしだって何を求めて逃げているのか分からない。


それでもこの行動は必要なものに思えた。


これからわたし達は苦しむのかもしれない。
たくさんの傷を負うのかもしれない。


そう思うと少しだけ怖かった。


その恐怖もすぐに消え失せて、隣の人から得る温もりに満たされていく。


ーー拓海くんとなら、何も怖くない。


この状況とは似ても似つかないような爽やかな風が、わたしの前髪を揺らす。


何も、怖くなかった。