「……よろしくお願いします……」
「なんで一緒に住まなあかんねん」
それは、一時間前に遡る。

「だから、私一人で大丈夫だって」
「でも、危ないだろう?」
……危ない、ねぇ。
私の両親は、一ヶ月前に交通事故で亡くなった。
そして、今日までおじいちゃんの二人で暮らしてたけど、おじいちゃんがそろそろ海外に仕事に行くらしい。
実は私のおじいちゃん、呉羽グループの社長で、すごい人なんだって。でも、世界的に有名って訳じゃないらしいんだけどね。
それで、私はまだ中学生だから一人で暮らすのは危ないって言うの。
そして、決められたのは、世界的有名な西園寺グループの家に住まわせてもらうことになるらしい。
西園寺グループの社長さんと、私のおじいちゃんは相当仲がいいからだって。
うーん。ほんとに嫌なんだよね。他の人の家に住まわせてもらうとか。
「おじいちゃん。ほんとに私大丈夫だから」
「でも、心配なんだよ」
おじいちゃんは、悲しそうな表情で私を見る。
おじいちゃんっ子の私には、そんな顔をされると断れない……。
「んー、もうわかったから!そんな顔しないで!」
「本当かい!じゃああちらの家に持って行く物を準備しといてくれ!」
「え、待って。今から行くの?」
「そうじゃ!送迎が来てくれるそうだ!」
「え、あ……」
それで今に至る。