『ズバリ、好きなタイプは?』


好きなタイプ、か。

去年まで付き合っていた彼女の姿が、僕の頭に鮮明に浮き上がってきた。

栗色のボブヘアで、童顔で、三つ年下。

思考はどこか大人びていて、しょっちゅう僕をからかってきて。

いたずらっぽく微笑む顔に、一瞬で魅了された。

告白したのは僕で、お別れを伝えたのは彼女。

恋人ではなく、これからはいいお友達として付き合いたい。

そう言われて、本音が声にならなかった。

ここで、僕はまだ恋人関係でありたいと伝えたら、彼女に拒絶されてしまうんじゃないか。

二度と彼女の顔を見ることができなくなるかと思ったら、とても寂しくて。

好きという想いが残っているのに、彼女と友人関係になって会うのもどうかと思ったけれど。

円満な別れだった。

友人となった今、会う機会は恋人だったときより減って、しばらく顔を見ていない。

「『ズバリ、好きなタイプは?』。うーん、そうだなあ……」