結局、私が望んでいた〝なにか〟を両親から受け取ることはできなかった。変わったのは会社が急成長したことで、両親はこれまで以上の多忙となっただけで、私は一人のままだった。
 私を取り巻く世界は変わらない。変わったのは難度の上がった勉強、眼のさらなる研究。武術の稽古に、宮之城家長女としての立ち振る舞い。ただそれだけ。


 世界に名を馳せる大企業のミヤノジョウグループの社長令嬢。誰もが羨むこの肩書きだけで、将来の人生は輝かしいものになるであろう。きっと、これが私の幸せ。
 そう、私はシアワセなんだ。