あの子はキラキラと輝いていて……そう、幸せいっぱいだったのだ。だから、このリストの子ではない……はず。
 しかし、確定ではない。他の同姓同名のリストを見続けてはいたけれど、しっくりこない人物が多く、もしかしたらという可能性を否定できなかった。


「この子の全ての情報を集められるまで、どれくらい時間がかかる?」
「産まれてこの方となると、時間がかかりすぎます」
「なら、今この子がいる街は?」
「恐らく一ヶ月もあれば」
「半月でお願い。大体の場所で構わないから」
「わかりました。しかし、それを集められたとしてお嬢様はどうするおつもりで?」


 彫り深いシワに苦労の影が見える。また迷惑をかけてしまうわね。
 可能性がゼロでないというならば、行動するのみだ。その子の近くへと赴けば、自身で情報を集めることも可能かもしれない。運命を感じるわけではない、たとえ違ったとしても次があるだろう。
 また私のわがままが先行する。待っているよりも行動したいのだ。何かしらの手がかりを、私はこの手に掴みたかった。


「その地区の中学校へ転入するわ。この国で中学生というのをやり直しながら情報を集めるつもりよ」


 キィと椅子を鳴らし立ち上がると、総一朗は了解の声を上げる。
 それからしばらく経ち、首を長くして待っていた情報が手に入った。
 あの子がいる街。そして同時に、私は中学校へと転入することが決まった。