君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―

 私と彼女は違う。
 私にとって、あの子との出会いは特別だった。だが、あの子にとっては恐らく違う。過ぎゆく時の中ですれ違っただけ、忘れないでいてと願う方が無理な相談だ。
 だけど、私は花言葉にそれを押し付けた。他に伝える術を知らなかったから、幼い私は二つの花にわがままを込めたのだ。


 咲き誇る左の花壇に勿忘草を。
 今咲かぬ右の花壇に彼岸花を。


 彼岸花の花言葉は『再会』。
 まだ見ぬ再会を夢見て、私の思いというわがままは今も枯れずここにある。いつか右の花壇が咲き乱れるのを待ちながら。
 この手にある黄色傘はもうくたびれてしまって咲かすことは出来ないけれど、貴女からもらった思い出花は大事に、大切に幼い頃の私の部屋で保管する。