君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―

「私にはわかる。誰も悲しんでなんかくれない、もういいの」


 悲しみって何? 胸を押さえてみても何も感じない。普通の人はこんなとき、どう思うの?


「……わたしは悲しいよ。死んじゃ嫌だよ」


 声のトーンが下がると同時に、ポロポロと彼女の目から涙が流れていた。
 理解ができない。どうして、どうして泣くの? どうして急に泣き始めたの?
 彼女を取り巻く悲しみのオーラが私の視界を滲ませていく。


「どうして泣くの? 意味がわからないわ」
「悲しいからだよ……だから、死んじゃいや! ぜったいダメ!」
「……なぜ悲しいの。貴女と私は何も接点なんてないはず。今日初めて会ったばかりなのよ」
「でも、もうお話したからお友達でしょ?」