君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―

「何をしてるの? こんな雨の中、傘差さないと風邪引いちゃうよー?」


 視界が少しだけ黄色に染まり、体を濡らしていた水滴の振動がなくなった。その代わりにパラパラと頭上で音が鳴り始める。


「…………」


 背を向けたままの私は頭の中で人物像を探るが、やはり出てこない。生まれてこの方、周りを取り巻いていたのは都合上大人ばかりだったからだ。


「あなたはだぁれ?」
「…………」


 ……? 私のことを知らないのに、話しかけてきたの? それならば合点がいく。さしずめ近所の子、といったところか。


「おーい、聞いてるー?」
「…………」