「「おはよう由菜〜!」」
「おはよう!カル!ナル!」

5月下旬。桜ヶ丘高等学校2年。
私はクラスの隅で“普通の女の子”を演じている。

「優希は?…って聞くまでもないか」
「そうだね(笑)今日も時間ギリギリじゃない?」

そんなことをカルと話す。
チャイムがなるまであと一分をきった瞬間、あのうるさい声が聞こえる。