「彩花ちゃん、こっちの仕事、できる?」

 晴人くんの柔らかで優しい声に、パッと顔を上げた。
「あ、はい!できます!」
 私は今までの作業を手放して、晴人くんの手元に向かった。
「彩花ちゃんはよく働くね〜」
「えっ……そんな……」

 ありがたいお言葉にびっくりしながら、内心では喜んでしまう自分。

(だって〜!晴人くんに褒められたんだもん!)

 嬉しいに決まってるっ!

「えへへ……ありがとうございます!」

 私は自分でも頬が緩むのを自覚しながら、晴人くんに言った。

「うん、彩花ちゃんはいい子だ」

 そう言って、不意に私の頭の上に手を乗せる晴人くん。

「……なっ⁈」
「ふふ、可愛い」
「か、かわいい⁈」

 ……晴人くんっ!
 好きでもない子にそんなことしたら……っ!

 ……期待しちゃうじゃんっ…

「は、晴人くん〜⁈やめてくださいよ!」
「ごめんごめん。可愛くてつい」
「なっ…また!」

 そんな晴人くんを叱りながら。

 ……胸の内で、喜んでいた。