翌日、学校に行くと
いつもと変わらない様子で大場くんが挨拶をしてくれたので安心した。

昨日のあれは見間違いだったのかもしれない、そうであってほしいと思いながら席に着いた。
いつものように隣には佐竹くんが居て、相変わらずつまらなそうに頬杖をついて大場くんの話を聞いる。


移動教室の帰りに先生から配ってくれ、と頼まれたプリントを持たされた。


重い…。これを持って行くとなると結構きついかも、でも行かなきゃ。


廊下の角を曲がった時「僕が持つよ」横から差し出された手に顔を上げると、そこにいたのは大場くんだった。


えっ?驚いている私をよそに、大場くんは私の手から軽々とプリントを取ると歩き出したので、急いで後を追った。


ありがとう、と言うと、どういたしましてと笑って返してくれたのでつられて私も笑う。


「女の子にこんな重いもの持たせるなんて先生も酷いよね」


そう言ってプリントを持ち直している彼を見て、こういうのって少女漫画で見たことある展開。
そんな事を考えときめいた私はドキドキしてしまった。

教室に着き、大場くんがプリントを教壇の上に置いてくれた。
ありがとう、ともう一度お礼を言うと、気にしないで、と笑うとすれ違いざまに私の頭をぽんぽんと撫で自分の席に戻った。


優しく触れられた所がじんわりと温かく感じる。
…心臓が破裂するかと思った。


もしかして……、ううん、違うよね、そんなはずないもん。でも、勘違いしそうになる。


自惚れそうになる自分の気持ちを抑えようと必死になるあまり、その後の授業は全く頭に入らず、気づけば一日が終わっていた。