はぁ…。


自分から話しかける勇気のない私が話しかけられるはずもなく、見ているだけで満足していたある日のこと、担任の先生に大場くんを呼んで来てほしいと頼まれた。

これは、話すチャンスかも!?と思い、張り切って教室まで行くと、ちょうど大場くんが出て来たところに声をかけた。


「お、大場くん、先生が呼んでたよ」


緊張で声が上ずってしまい、うまく話せなかった気がする…。大丈夫かな?変な子だと思われていないかな。

恥ずかしくて俯いていると、頭の上から「えっと、立花さんだっけ?ありがとう」と優しい声が降ってきて顔を上げると、にっこり微笑んでる姿に胸がドキドキしてしまう。


あっ…、私の名前を覚えててくれたんだ。嬉しくて顔があつい。


大場くんの後ろ姿を見送りながら、名前を呼んでもらえた喜びに浸っていた。

テスト前は大場くん席の周りに人が集まり、勉強会をしていた。

私も参加してみたかったけど引っ込み思案なせいで結局、声をかけることはできずにいつもモジモジしながら見てるだけ。


はぁ…私ってなんて情けないんだろう。


せめて、きっかけがあればいいんだけど、みんなの輪に入ることも出来ない私には、この状況ハードルが高すぎる。


はぁ…、また、ため息をついて机に顔を伏せたが、やっぱり羨ましくて横目でチラチラ様子を伺ってしまう自分に呆れる。