興味がないくせに、さっきの立花を見て胸が騒ぎがしたのは何でなんだ。

あの時、立花は一輝の言葉に動揺していた。
もし、あいつが一輝に好きだと言ったら一輝はどうするんだろう…。


想像しようとして、やめた。


くだらねぇ、考えるだけ無駄だ。


それに、誰が誰を好きになったって俺には関係ねぇし。


そこまで考えて、また自分の胸に違和感を覚えたが、気づかないフリをした。


「でも、なんか嬉しいなぁ。旭は僕のこと心配してくれたんでしょ?」


一輝がクスクスと笑っている。


「傷つくやつもいるかもしれない。刺されたら困るだろ」と言ったのは間違いじゃねぇけど、俺が言いたかったのはそれだけじゃなかったんだが、上手く言葉に出来なくて結局黙ってしまった。


「旭って顔に似合わず優しいよね」


「一言余計なんだよ!」


俺の顔を覗き込んで楽しそうに笑っている一輝の頭を軽く叩くと、大袈裟に痛がったふりをしている。


「ほら、さっさと帰るぞ」


先に歩き出すと、後ろから小走りで追いかけてきて隣に並ぶ。
ふと視線を感じて隣を見ると、こっちをじっと見ていた一輝と目が合った。


「何だよ」


「ううん、なんでもない。刺されないように気をつけるよ。ありがとう旭…」


ふふっと笑う姿に首を傾げる。


「変なやつ…。何で礼言われたのか全然わかんねぇ」


「いいの!僕が嬉しかっただけだから」


何故か嬉しそうにしてた一輝が、ふっと目を逸らした
その横顔が少し寂しそうに見えた気がしたが気のせいかもしれない。


俺たちはいつも通り他愛のない話をしながら並んで帰った。