「で、殿下。どうしてここに……!?」
驚く私の腕を掴み、壁際に私を追いやった。
私を囲い込むようにして殿下の腕が壁にくっつき、そして殿下と私の顔がどんどん近くなっていく。
「私がそう簡単に君を逃がすと思うかい?」
殿下、目が笑っていませんが……。
私の顎にその細く長い指を当ててくいっと持ち上げると、吐息がかかるほどの距離で私に囁いた。
「婚約破棄をしようなんて、私は許さないよ」
「へ……?」
殿下はコートのポケットから手紙を取り出し、私の目の前でひらひらとして見せた。
それは今朝方に確かに私が殿下にあてて書いた手紙だった。
「まあ、ここで言うのもなんだし、続きは部屋で聞こうか」
「え?」
そう言って殿下は手紙の後ろに隠してあった切符をちらりと見せて笑った。
まるで手品のような美しい手さばきに見惚れてしまった。
殿下に誘われるまま列車の個室へと向かって歩く。
「で、殿下、その……」
「大丈夫だよ。アリスと同室の部屋を取ったから」
「え!?」
豪華列車の部屋はグレードによって分かれている。
驚く私の腕を掴み、壁際に私を追いやった。
私を囲い込むようにして殿下の腕が壁にくっつき、そして殿下と私の顔がどんどん近くなっていく。
「私がそう簡単に君を逃がすと思うかい?」
殿下、目が笑っていませんが……。
私の顎にその細く長い指を当ててくいっと持ち上げると、吐息がかかるほどの距離で私に囁いた。
「婚約破棄をしようなんて、私は許さないよ」
「へ……?」
殿下はコートのポケットから手紙を取り出し、私の目の前でひらひらとして見せた。
それは今朝方に確かに私が殿下にあてて書いた手紙だった。
「まあ、ここで言うのもなんだし、続きは部屋で聞こうか」
「え?」
そう言って殿下は手紙の後ろに隠してあった切符をちらりと見せて笑った。
まるで手品のような美しい手さばきに見惚れてしまった。
殿下に誘われるまま列車の個室へと向かって歩く。
「で、殿下、その……」
「大丈夫だよ。アリスと同室の部屋を取ったから」
「え!?」
豪華列車の部屋はグレードによって分かれている。