王都にあるクルーズトレインの駅まではおよそ五時間かかる。
 お金もそんなにないので、王都へ行く商人の馬車に乗せてもらい、駅まで向かった。

 お父様のことも心配だったから、ここに来る途中に近くに住む元々うちで執事をしてくれていたクロードに声をかけておいた。
 快く引き受けてくれた彼に感謝して、私は駅へと向かった。

「着いた……」

 見たこともない大きな駅に蒸気機関車がいくつもあり、人がたくさんいる。
 身なりのいい紳士やご夫人が多くいた。

「切符をまず買わなくちゃね……」

 私は辺りをきょろきょろと見渡しながら、カウンターに向かった。

「すみません、クレセント号の切符を一枚ください」
「かしこまりました。大変失礼ですが、年齢はおいくつでしょうか?」
「17歳です」
「ありがとうございます。それでは大人一枚発行させていただきます」
「お願いします」

 子爵称号のついた身分証を見せて切符をもらうと、受付の人にお礼を言ってトランクを持った。
 ホームにある列車は、蒸気がすごい勢いで噴き出してる。
 真っ黒くて大きい車両はずーっと遠くまで続いていて思わず見上げてしまう。