我に返って客席を振り返る。
みんなが私を見て歓喜にわき、拍手し、手を振り、何やら感動した形相で、大声で称賛の言葉を送ってくれていた。

ーーうわぁぁぁ! マジー?
やばい! 超気持ちいい!
誰にも譲りたくない、達成感と高揚感。
律は、これを私に体験させようと特訓してくれたのか!
自分のソロを封印してまで、私にこの瞬間を譲ってくれた。

――律は? 律はどこ?

幕裾でこっちを見てグーを送る律を見つけ、私は走って行って飛びついた。
「律、ありがとう! 大好き!!」

♪♪♪

コンクールの結果は、律のクラスが優勝。
そして、私は特別に伴奏者賞をいただき、みんなから盛大に祝福された。