優しい愛で溶かされて

.
.
.


「歓迎会しましょうよ!」


定時間際。神崎さんが課長に提案したことによって決まった一之瀬さんの歓迎会。

都合がつく人は全員参加して欲しいとのことで、私も参加することになった。


戦略企画課は全員で20名ほど。ぞろぞろと皆で会社を出て、予約された飲食店へと向かう。

そんな私の目の前を歩くのは、神崎さんと一之瀬さん。食堂で仲良くなったのだろうか。なんだか距離感が近く感じる。


それはお店に着いてからも同じだった。
10人10人でそれぞれ2テーブルずつ分かれ、5:5で対面するような形の長机に座らされた。
私は案の定机の1番隅っこ。神崎さんと一之瀬さんとは同じテーブルで、机を挟んで対角線上の位置にいる。

隣に座りたかった、なんてそんな厚かましい感情はない。誰から見てもやっぱりあのふたりはお似合いだもの。


「それでは!これからの一之瀬くんの活躍を祈って〜カンパーイ!!」


「「「カンパーイ!」」」



課長の威勢のいい掛け声から始まった歓迎会は、いつも通り私を置いてけぼりにして盛り上がっていく。


チラリと一ノ瀬さんたちの方に視線をやったが、まるで遠い世界の人たちように感じられて、私は思わず顔を背けた。

一之瀬さんはやっぱりコミュ力が高く、もう周りの人と馴染んでいて私よりもこの課に溶け込んでいるように見える。


すごいなぁ、ほんとに。


心の中でそう呟いた時、酔いが回った赤い顔の課長が急に立ち上がり、私の座っている方を指さした。


「おいー!そこー!山路ー!盛り上がりにかけるー!!のめ!!早よ飲めよーー!」