お父様の提案で、婚約を交わすまで顔を合わせてはいけない。同室で暮らしてはいけないという縛りができた。
その事を星龍家に伝えると、何故か素直に受け入れられた。
婚約してるのに別居なんて絶対反対されると思ったのに。
お父様が、そう仕向けたのだろうか?
そんなこんながあり、今の旦那様と顔を合わせずに今日までたどり着いた。結納の日は旦那様と私は別室で待機。
こうして、1度たりとも旦那様と話をしたことはないのに。
……なんで、私は旦那様に押し倒されているのだろう?
***
「……今日はもう良い。部屋に戻れ」
一連の出来事に顔を赤く染めながら旦那様を見つめていると、ふと私から離れていく。
覆いかぶさっていた重みがなくなり、体は軽くなる。
だけど、その軽さが寂しいと感じたのはなんでだろう。
「承知、しました……」
固まっていた体を動かし、なんとか座り直す。



