【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。


意識がぼんやりし始めた頃。


寝ていてもわかるほどの強い光を感じた。そのことに気づいて私は眠いまぶたを擦りながら体を起こす。



「何かしら……」



眠気に勝てず、頭の中は半分寝ていた。


ぼーっとしながら光の方へ歩いていく。襖を開け、キョロキョロと辺りを見渡す。


……あの光、外からだわ。


そう思って縁側の窓を静かに開ける。今は夜中のはず。なのに、まるで昼間のようなこんな明るい光は一体……。


好奇心と恐怖心が混ざりあって不思議な感情になったけど、好奇心に勝てず中庭を覗いた。



「……え?な、にあれ……?」



暗くてよく分からないけど昼間旦那様と一緒に見た桜の木の下に大きな“動物”のようなものがいた。


私はびっくりして何度も何度も目をこする。


だけどその光景は変わらなくて。


私はとんでもないものを見ているような感覚に陥った。



「……人?……いや、犬……?いやいや……」