【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。


生まれてこの方異性とあまり関わりを持ってこなかった私。


お父様でさえ話すのに緊張するのに、旦那様からこんなふうに迫られるなんて思わなかった。


あの微笑みを思い出しながら、布団の上でじたばたと悶える。


考えただけでも心臓が跳ね上がるのはなんで?


私はいつか旦那様を裏切る、最低な人間。


こんな私が、旦那様のそばにいてはいけない。


そう思うのに、旦那様の温もりが欲しいと思うのはなんでだろう……。


ぎゅうっと自分を自分で抱きしめる。


私……もしかして、旦那様のことを……。


いや、それはないかな。


考えてはいけない考えを捨て、私はそっと目をつむる。


疲れ切っていたせいか、私はすぐに眠りに落ちて不思議な夢を見ていた。