それにしても……。
畳の上に乱暴に敷いた布団の上に寝転がり、ふと思い出す。
「……旦那様のご病気って一体何なのかしら?」
そう。
未だに謎なのは旦那様の病気のこと。政略結婚の約束には、『病気を治すこと』が入っていたはず。
今までそんな話は旦那様からはなかったし、この屋敷にいるお手伝いさん達からも聞いたことがない。
そもそもあんな健康そうな旦那様が病気にかかっているのだろうか。
あの美しい容姿、健康そうな体、妖艶に微笑む姿。
とてもじゃないけど、病気を持っている人には見えなかった。
「……はぁ。考えても仕方ない、か」
広い部屋に1人、寝返りを打つ。
それと同時に旦那様と初顔合わせをした時のことを思い出した。なんの取り柄もない私になんであんなことをしたのだろう。
なんで、私なんかを心美しいと言ってくれたのか……。
思い出すだけでも恥ずかしい!!



