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「疲れた……」
夜が深け、みなが寝静まる頃。
ようやく私の稽古が終わり、部屋へ戻る。久しぶりの稽古は大変で、ずっと踊りっぱなしだった。
そのせいで足は棒のように動かない。
部屋に戻った瞬間倒れ込んでしまった。
「はぁ……もう、このまま寝ちゃおう……」
すっかり疲れ切ってしまった私は、お風呂に入ることもせず、そうそうに寝ることにした。
今回は旦那様も稽古場にいたので、緊張がずっと解けなかった。
私の踊りを見てどうと思ったのだろう。
私の踊りには治癒能力があると信じているのだろうか。
そんな思いが邪魔をして、いつもより上手く踊れなかった。足はもつれ、歌う声は小さくなり、扇子の向きを間違える。
いつもはしない間違いをここぞとばかりに発揮してしまい、師匠からは散々怒られた。
そんな様子をどう思いながら見ていたのか。旦那様のことが気が気ではなかった。



