心の、美しい……?
旦那様から驚くような言葉が聞こえてきて、思わず息を呑む。
お父様の言うことしか聞けない私が心の美しい女性と言えるのだろうか。
どうして、旦那様はそう思ったのだろう。
「私は今まで何度か女性と婚約したことがあるが、全部破棄した。それはなんでだと思う?」
「え、えっと……」
「その女性はみな、私の権力とこの顔にしか興味がなかったからだ」
ーードキン。
……なんと言えばいいか分からない。
旦那様がどう思ってそんな大事なことを話してくれているのか分からない。だけど、見つめる旦那様の瞳は、寂しそうに揺れていた。
「本当はこの婚約も断るはずだった。私から婚約破棄を願うつもりだったのだが、それが違った。女性の方から婚約破棄されるのは初めてで、驚いたもんだ」
私を見つめながらそっと微笑む旦那様はとても美しい。
確かに普通の女性なら誰もが見とれてしまうだろう。



