【短編】冷酷な旦那様が恋に落ちたのは、離婚を申し出た花嫁でした。


「……緊張、するのです。旦那様とお話するのは緊張してしまって……」



ドキンドキンと心臓を跳ね上がらせながら、旦那様に打ち明けた。旦那様に正直な気持ちを話すのは初めてで。


この先どうしたらいいか分からず、腕の中で固まっていた。



「……なんだ。そういうことだったのか」


「え?」



どんな返事がくるのだろう、と目を瞑りながら待っていると、どこかほっとしたような声が聞こえた。


私を腕の中からそっと離すと、旦那様は目を見つめる。


その真っ直ぐな瞳に吸い寄せられた。


目をそらすことが出来ない。旦那様は一体何を思って私を見ているのだろうか。


答えを聞くのが怖くて、でも聞きたくて。


矛盾した気持ちがごちゃ混ぜになっていた。



「私も実はお前と話すのは緊張する」


「……へ?そ、それって、どういう……」


「お前のような心美しい女性と出会ったのは初めてだからだ」