予定はあるにはあるが、それを言ったら多分私に旦那様は着いてくるだろう。
それは絶対に避けたい。
上手く誤魔化そう。
そう思って、口を開いた。
「え、えっと……」
「無理にとは言わないが、踊りの稽古をするというのなら少し見てみたい。お前の踊りにすごく興味がある」
……ドキッ。
恐れていた言葉が旦那様から聞こえた。
その遠慮のない物言いに少し怒りを覚えたが旦那様が言うのなら、仕方ない。
断る前に、尋ねられてしまった。
早く言わなかった私が悪い。
「踊りの稽古、は……あります。では、旦那様がいらっしゃることを先生に伝えておきますね」
無能な私だけど踊りの稽古だけは続けていた。
その稽古が今日、この後予定していた。
まさか今日旦那様がこう言ってくるなんて思わなくて。
内心嫌で嫌で仕方なかった。
でも、旦那様に言われては下手に逆らえない。



