自分からこの婚約を破棄しようとしたのに、何故かこうなってしまった。


これが普通の夫婦のあり方だと思うのだが、私と旦那様はそんな考えが無さすぎて戸惑っているのだ。


私は、一体どうしたら良かったのだろうか。


こんなんでお父様との約束を守れるのだろうか。


もし、もしも……このまま、結婚生活が続くのならば。


おそらく私は、旦那様に殺されるだろう。


嘘つきの家系だと家族諸共殺られてしまうだろう。


どうにかして婚約を破棄させなければ。


とにかく私の20歳の誕生日まであと半年。半年後の秋までに婚約を破棄出来ればいい。


私は……あのお方の、愛は……いらない。


姿見の自分を見つめながら、心の中で無心に誓う。


私が欲しいのは両親からの愛。


ただ冷たいだけの、冷酷な旦那様からの愛はいらない。


これは、夫婦の関係を断ち切るまでの戦いだ。


私は、そっと深呼吸をした後、気持ちを引き締めるように着物を整えた。