いつもと違う少し遠出のデート。

初めて乗る彼の車という二人だけの空間の中、私はカチカチにに緊張していた。けれど、好きで好きでたまらなかった人と同じ時間を過ごすことの喜びを、かみしめてもいた。

着かず離れず、互いに微妙な距離を保ちながら見て回る水族館。

傍にいるだけで幸せな気持ちになるというのに、甘い声で名前を呼ばれ、私はいっそうの幸福感に満たされた。

どきどきして、緊張して、だけど嬉しい。触れたいのに触れられない、触れてほしいのに触れてくれない――そんなもどかしさが、私の心をかき乱していた。

けれど――。

人の波が途切れた時、その瞳に切なげな光を揺らめかせた彼は、私にそっとキスをした。

「好きだよ――」

その言葉に応えようとする唇を塞がれて、私は再び目を閉じた。

あなたが好き――その想いをこれからも、もっとたくさん伝えたい。

――大好きよ。愛してる。