まだ、振られていないのに、私は逃げてしまった。

「…なんてね!ごめんねふう、今日、エイプリルフールだよ?そこまで本気にされちゃうと、困っちゃうなあ」

「…あ、ね。そういうこと。さすがにびびったわ」

「…うん、!ほんとごめん、こんないたずらやめとけばよかったね」

…。沈黙が教室に広がる。

「じゃ、俺帰るわ。もうこんなことすんなよ。おつかれ、おと」

ガタガタ。座られたときより少々荒っぽく扱われた椅子。

そして、荒っぽく扱った張本人は、ひらひらと片手を振り、あっさりと教室から出ていった。