…カラカラカラ。

模試終わり、私以外誰もいなくなった教室の扉が開く。

…来た。

「おと?話って何」

そんな言葉とともに教室に入ってきたのは、私の片想い相手、向日楓汰。

私がマネージャーをしているバスケ部の新エースなんて呼ばれてるすごい人。

理系はからっきしだめなのに、英語はものすごく堪能な人。

茶色がかった緩いウェーブの髪と、小さめの泣きぼくろ、笑ったときにのぞく犬歯がかわいい人。

誰にでも優しくて、でも、そのことに気づいてなくて、私のことを優しいなんて言ってくれる人。

誰よりもモテているわけではないけれど、私にとっては世界一かっこいい人。

「ふう、来てくれてありがとー
ま、とりあえず座って??」