目を瞑ると、楓汰の顔が浮かぶ。

''おとの髪の毛、まっすぐで羨ましいなあ。さらさらだね''

この前、部活のあと、たまたま2人になったとき。エイプリルフールのうんちくのあと、楓汰が言ったから。

今日はいつもの倍時間をかけて髪をまっすぐにした。

…でも全部、無駄だった。無駄にしてしまった。

明日からはしばらく、部活も学校もない。次楓汰に会うのは始業式、4月7日だ。

嘘ってことにしたのは私だから、私がちゃんとしなきゃ。

気まずくなんて、しちゃだめ。笑って、いつも通りにふうって呼ぶ。