「僕の星では宇宙ジェットって言うんだけどね」


これが、UFO…もとい宇宙ジェット…

あかねは、驚きを隠せなかった。


ん?
……ということは…

「星くんは宇宙人ってこと⁈」




「うん…君たちからみればそういうことになるのかな」


「‼︎」
本当に星くんは宇宙人なんだ‼︎
驚きのあまり声が出ない。


そういえば、学校でみつきと、星くんって変わってるねと話している時、お昼ご飯でウインナー星人について話している時…星くんと目があった。
あれは、自分が宇宙人であることに気づかれてないか、気にしていたからだったんだ…

それにしても、こんな美しい宇宙人がいていいのか…
イケメンの人間にしか見えない…
驚きのあまり、あかねは冷静にそんなことを思っていた。



「僕から見たら、佐藤さんが宇宙人なんだけどね」
くすっと少し笑いながら星くんは言う。

そうか…私も宇宙人なのか…と思うとともに、星くんが名前を覚えていてくれたことが嬉しいと思った。



宇宙ジェットは、2人が話している間も、月光に照らされキラキラと輝く。


これが、わたしが夢にまで見たUFOなの?
想像してたより、ずっと綺麗だ。

先端は逆三角形型に尖っており、乗るところはシアンブルーの透明の膜でドーム状に覆われている。
操縦部分は普通の飛行機とそこまで変わらず、思ったよりシンプルだが、機内にグリーンの電光の記号が並んで浮いていた。きっと、操縦に使うのだろう。
小さな四角形のパーツで張り巡らされた精密な大きな羽は壊れているからなのだろうか、くるり、くるりと、ときおり動く。

本当に綺麗…


目をキラキラさせて、UFOに近づく。


「近づいちゃだめだ!まだ、制御できてないから…」


「制御?」


「じつは、宇宙を探査している途中この宇宙ジェットが壊れてしまって、落ちたところがこの地球だったんだ」


「宇宙ジェットって言うんだね…」
その物体は、私、つまり地球人にとってはもちろんUFOだけど、星くんにとっては宇宙ジェットだったのか…
そして、壊れている…

「直るまで帰れないの?」

「うん、2週間前からここにいるんだ……」
星くんの目が不安を抱いているのをあかねは気づいた。


2週間も…
直るのだろうか…
そう思ったが、もちろん聞けない。
もし、もしUFOが直らなかったら……
自分の故郷に帰れない。
そんな不安を抱える星くんのことを思い、あかねは胸を痛めた。



「そういうことで地球にいるのが長くなりそうだから、地球人として生活してみようと思って、ここの学校に通うことにしたんだ」


「今夜あったことは誰にも話さないでほしい。」
星くんは真剣な瞳でまっすぐあかねを見つめた。


「もちろんだよ‼︎」
力強くあかねは答えた。