「はじめまして、僕の名前は、星 隼人です」



そう、爽やかな笑顔で自己紹介をした噂の転校生は、2限の初めに来た。
電車が遅れに遅れてしまい、遅刻してしまったらしい。


彼が、教室に入ってきた時、女子達、いや男子達もざわめいた。
なぜなら、彼は今まで見た事ないくらいのイケメンだったからだ。

すらりと高い背、長いまつ毛にはっきりとした二重で魅力的な目元、薄い唇、さらりとした黒髪。
まったくチャラくなく、髪も自然体。しかし、素材がよすぎて、かっこよさが溢れ出ている。
まるで、アイドルにいそうである。

休み時間星くんはすぐさまみんなに取り囲まれた。

あかねとみつきも、もちろん興味がないわけではなかったので、その集団と一緒になった。

あかねは、少しムッとした真希と目があった。

ははーん。王子の座が星くんに奪われそうで、ご機嫌ななめなのね。

いや、今は真希は置いといて、星くんだ!


「ねえ、星くんって、どこからきたの?」
興味津々なクラスメイトが聞く。

「東京っていうところから来たんだ。」


えーっ‼︎すごーい!

東京っていうところ…何となく語感が気になったあかねではあったが、そのまま話を聞く。

「彼女はいるの?」

「彼女?いないよ」

キャーっ
黄色い歓声。

美麗なルックスと爽やかな笑顔でたちまち、星くんは女子達を虜にした。

星くんは、みんなに囲まれ、あかねとみつきはちっとも近寄れない。
仕方なく、星くんの席の反対側の窓際に移動した。

そのとき、何かキラッと輝くものが窓から見えた。
場所的にきらら丘からだ。
この街には、少し小高い丘がある。
この街に住んでいるなら、一度は登ったことのある親しみ深い丘だ。
みつきとは、ピクニックで一緒に登ったことがある。

「ねぇ、今きらら丘で何か光ったよね?」
あかねはみつきにきく。

「え~?わかんなかったよ?」

「本当に、さっき光ってて…あ!また光った」

「光の反射じゃない?今日、日差し強くて眩しいし」


みつきはそう言ってるが、もしかしたら、UFOかもしれない…あかねは思った。
あかねは、昨日読んだ「全国UFO特集」を思い出していた。
あの特集には、ミステリーマガジンらしく街の名前は明かされていなかったがあかねの住んでいる街とよく似た街でUFOの目撃情報があった、というものがあった。

もしかしたら…

いや、そんなばかな…

やっぱり、わたし、SFの読みすぎかもしれない…


キラッ…

え…また、光った…


気になるけど、これ以上みつきに言ったら、やばいやつだと思われるよね…

これ、幻覚だったらどうしよう…

モヤモヤしながら、あかねは次の授業の準備に取りかかった。