だって今までもあったもん。

遼河が忘れ物をして私が貸すの。


だけどこんな目の前で他の女の子よりも私のがいいって言ってくれたのは初めてだった。




………………嬉しい。



さっきまでは嫉妬してたくせに我ながらなんてちょろいんだ。


たった文房具を貸すだけのこと。

それだけのことだけど嬉しいんだ。
遼河がしてくれることは全部全部嬉しい。



「しょうがないなーりょうは。
はい。」

「サンキュー!」


受け取って自分の席に戻っていく遼河の背中を見ながら顔が緩んでしまう。

 


このまま、ずっと私だけを頼ってくれればいいのに。




そんなどうしようもないことを考えてしまった。