なのに言ってしまった。



戸惑った顔を見た瞬間、次に来る遼河の言葉が怖くて口から溢れてしまった好きを慌てて消した。




「ははっ!驚いたぁ〜?

今日、エイプリルフールだよっ?

遼河があまりにもブサイクな顔してるからさ!
フラれたからってそんなに落ち込まないの!


前に進もう?

愛花先輩の他にも女の子いっぱいいるんだから!新しい恋だよ!新しい!」





怖くて、怖くて、仕方がなくて早口で好きを消した。



「ふっ。ありがと、瑠莉。
ちょっと元気出た。
愛花先輩のこと忘れるのはちょっと時間かかるかもしれないけど、あんまりマイナス思考にならないようにしないとな!」

「うん!そうそう!」


やっと遼河が笑った。

いつもの遼河だ。


「帰ろ?」

「おう。」


2人で暗い道を他愛のない話をしながら歩く。



「今日、エイプリルフールだったのかー。
忘れてたわ。
てか瑠莉の嘘に完全に騙されたー。
好きだなんて言ってくるから驚いたわ!」

「あはっ、傑作だったよ。あの時のりょうの顔。」



とにかく遼河が少しでも元気が出たみたいで良かった。





でもね、遼河。

 
好きって想いは嘘じゃなかったんだよ?


怖くて咄嗟にエイプリルフールを使っちゃたけど好きは心の底からの本心だった。



好きだよ。遼河。


一度は口に出してしまった想いを心の中でつぶやいた。