愛花先輩にはあんな顔を向けるの………?


私には見せない顔。


愛花先輩は特別なんだ。
……………でもやっぱり私はただの幼なじみ。



先輩の目の前にいる遼河を見ていると嫌でもそう思い知らされる。



「先輩!教室まで送ります!」

「え〜?いいよー、すぐそこだしー?」


ふふっと笑う愛花先輩だけど遼河は引かない。



「いいえ!俺が先輩と一緒にいたいだけですから!」

「ふふっ。じゃあお願いします。」

「はい!」



今の遼河には愛花先輩しか映ってない。
これから先もそうなのかもしれない。

愛花先輩が遼河を振らない限りはずっと先輩のことを好きだ。



「…………っ。」




今まではこんなことなかったのに気づけば頬を温かいものが伝わっていた。


2人を目の前で見たから…………?


さっき見た時、愛花先輩ももちろん遼河もすごく楽しそうだった。



2人が付き合うのもきっと時間の問題。


付き合ったら一緒に帰ったり家に遊びに行ったり出来なくなるよね。
自分の彼氏が幼なじみとはいえどずっと一緒にいたら気分良くないだろうし。



やだなぁ。




ただただそう思うだけ。


今まで誰よりも側にいて近くにいた遼河が今はすごく遠く感じる。