ところが次の日も、女の子はやってきました。

 魔法使いが話し掛けたいのを我慢して離れた場所で様子を見ていると、女の子は何かを探しているようです。

 そしてそれが見つからなかったのかそのうちあきらめ、森を出て帰っていってしまいました。

「あの子は森に何か大事な用があるのかもしれない。もしまた来たら、もう一度勇気を出して聞いてみよう」


 数日後、また女の子が森にやってきました。
 魔法使いはもう一度優しく話し掛けます。

「……こんにちは、この前も森に来ていたね。どうしたの?何か困っていることがあるなら言ってみて。僕が力になれるなら手伝うから」

 すると女の子は恐る恐る魔法使いに尋ねます。

「あの、あなたがこの森の魔法使いさん……?」

 女の子は彼のことを知っているようです。

「この前はごめんなさい、あまりにびっくりして逃げちゃって……」

「良いんだよ、僕がいきなり話しかけたんだからね」

 魔法使いは女の子が気にしてくれていたことを嬉しく思い、そう優しく言いました。

 すると女の子は尋ねます。

「実は頭痛に効く薬草を探しているんです。お父さんが困っていて……どこに生えているか知りませんか?」

 魔法使いは女の子の言っている薬草の生える場所を知っていました。

「知っているよ、それならこっちにある。それに僕は薬も持っているんだ」

 魔法使いは女の子を薬草の場所に案内します。そして頭痛の薬を手渡しました。

「ほら、この薬草を煮て汁を飲むんだよ。少し砂糖を入れると良い。人間には薬草そのものだと苦すぎるからね。それと、これがその方法で作った薬。これで頭痛は和らぐはずだから、少しあげる」