「逃げてないわ、ここが私の家だもの」

一条に背を向けて玄関を開ける。

まだ何か言っているのが聞こえるけど、

私は無視してドアを閉めた。

……名残惜しいけど、仕方ない。

「ただいま」

鍵を玄関に置いて、そのまままっすぐ進んで

リビングに入る。

「あれ、お姉ちゃん。帰ってきてたんだ」

「んー。研究がひと段落ついて休み

もらった」

昼間だと言うのにお酒を飲んでいるお姉

ちゃん。

でも、頭がいいんだからなんだかムカつく。

「今は何研究してるんだっけ?」