「氷室、ここ答えて」

誰もいない教室。

私の前に座る男子の声が、静かな教室に

響き渡る。

大真面目な顔をしているそいつに対して、

私はあっさりと口を開いた。

「簡単よ、家康でしょ?それより、

これも解いてみてよ」

さっきの仕返しのようにそいつ……一条に

私が作った問題を見せる。

「……さ、坂本龍馬?」

「違いまーっす!今回は私の勝ちね」

おずおずと答えを口にする一条に半ば被せ

ながらそう言うと、不服そうに睨まれる。