黒田先輩の隠し事

風でなびくカーテンの隙間から外のカラスたちを眺めた。

今まで一度も彼女と初めて会った時を忘れたことはない。

一年前くらいか。



あの日は満月だった。

血を流して子猫を抱き抱える僕に話しかけてきた。

『ねえ、さっき子猫を守るために喧嘩してたんでしょ?』

商店街の裏の路地。来てはいけないところ。

子猫のなきごえを聞いてやってきたのだろう。

街灯もないこの路地でゴミと一緒に座っている僕を見つけるのは簡単ではないはずなのに。

『違う。俺が嫌われてるから、こいつに酷い目、遭わせてしまったんだ」

目も合わせず俯く。

視界にはくるぶしが隠れるくらいの靴下とローファーを履いた足があるだけ。

僕が血を流しながら言ったことに彼女はこう返した。