「お久しゅうございます。王太子殿下」
久しいとはこれ如何に。
学園でも顔を合わせることはほとんどない。昼食でさえも誘われることも誘うこともないドライな関係。
このような関係で将来は大丈夫なのかと不安視する声も一部には聞こえますが、それでも生徒たちは未来の王太子妃として敬意を払ってくれている。
どこを見渡してもお嬢様ほど王太子妃に相応しい方はいらっしゃらないですからね。
涼やかな小鳥のさえずりのような声で挨拶をすると、最上級のカーテシーを披露するお嬢様。そんな優雅な仕草に瞠目する王太子。一連の動作は洗練されていて王太子が言葉を失うのも無理はない。
しんと静まり返ったホールの中が羨望の眼差しと熱い吐息が漏れて若干熱を帯びる。
場の雰囲気を掌握したといっても過言ではない様子に私は一人ほくそ笑む。
「なんだ。その態度は、悪びれもなく、のこのこと出てくるとは。厚顔無恥も甚だしい」
人差し指をお嬢様に突き付け怒鳴り散らす王太子。



