「さあ、できた。ビオレッタちゃん、本当に綺麗よ」
カメリアはビオレッタに化粧を施し、最後にブーケを手渡した。カタラータ神殿の庭園に咲く花々で作られた、白を基調とする優しい色合いのブーケだ。
白く艶のあるシルクのドレスにブーケを持てば、世にも美しい花嫁が出来上がった。
「……一階でラウレルが待ってるけど、これを見たら倒れちゃうかもしれないわね」
鏡に映る、生まれて初めてのドレス姿……自分が自分ではないみたいだ。
コラール姫までとはいかなくとも、いつもより美しくなったその姿を早くラウレルに見せたかった。
こわごわ階下へ降りると、同じく正装に身を包んだラウレルがこちらを振り返る。
(わあ……)
いつも洗いざらしの金髪が今日はきれいに整えられ、白い衣装の胸元には、ブーケと同じ色合いのブートニアが添えられている。
ビオレッタは、彼が美しい人だったことを再確認した。こんなまばゆい人の隣に自分が並んで大丈夫だろうかと心配してしまう。
「ラウレル、お待たせ」
つい、ラウレルに見とれてしまった。
彼もドレス姿について何か言ってくれるか少し期待していたのだが、ラウレルからは何の反応も無い。
いつも大袈裟に褒めてくれる彼なのに、真顔のまま、ずっとビオレッタを見ているだけなのだ。
「ラウレル?」
呼びかけても、反応がない。
全然、ぴくりとも動かない。
「……ビオレッタちゃん、大丈夫。多分ラウレルは気を失ってるんだわ」
「目を開けたまま!?」
信じられないことだが、ラウレルは気を失っているらしい。
待ち望み過ぎたビオレッタの花嫁姿を見て、あまりの嬉しさに意識を手放してしまったのではないか。というのがカメリアの見解だ。そんな馬鹿な。
ビオレッタはなんとか花婿の意識を取り戻そうと、彼の腕を揺さぶった。
「ラウレル、起きて、お願いよ」
「……ビオレッタ」
お陰でラウレルは意識を取り戻したが、至近距離にいる花嫁姿のビオレッタを見ては、再び強い衝撃を受けているようだった。
よろよろとよろめいて壁に寄りかかると、幻を見るように目を細める。
「これは夢?」
「現実よラウレル。そろそろ教会へ行かないと」
「そうか、現実か……これは現実……」
壁にもたれかかったまま動こうとしないラウレルの手を引くと、逆に手を引き寄せられた。
そのまま、ビオレッタはラウレルの胸へとすっぽり収まる。
「ビオレッタ……夢のようにきれいだ」
彼の甘い言葉と蕩けるように幸せそうな顔が、ビオレッタの胸に真っ直ぐ刺さる。
こんな自分でもラウレルを幸せに出来るのだと……彼の喜び様は、そんな自信を植え付けてくれるようで。
「ラウレル、私、幸せだわ」
ビオレッタは花のような笑顔を彼に向けた。
ラウレルも、眩しいほどの笑顔でそれに応えたのだった。
カメリアはビオレッタに化粧を施し、最後にブーケを手渡した。カタラータ神殿の庭園に咲く花々で作られた、白を基調とする優しい色合いのブーケだ。
白く艶のあるシルクのドレスにブーケを持てば、世にも美しい花嫁が出来上がった。
「……一階でラウレルが待ってるけど、これを見たら倒れちゃうかもしれないわね」
鏡に映る、生まれて初めてのドレス姿……自分が自分ではないみたいだ。
コラール姫までとはいかなくとも、いつもより美しくなったその姿を早くラウレルに見せたかった。
こわごわ階下へ降りると、同じく正装に身を包んだラウレルがこちらを振り返る。
(わあ……)
いつも洗いざらしの金髪が今日はきれいに整えられ、白い衣装の胸元には、ブーケと同じ色合いのブートニアが添えられている。
ビオレッタは、彼が美しい人だったことを再確認した。こんなまばゆい人の隣に自分が並んで大丈夫だろうかと心配してしまう。
「ラウレル、お待たせ」
つい、ラウレルに見とれてしまった。
彼もドレス姿について何か言ってくれるか少し期待していたのだが、ラウレルからは何の反応も無い。
いつも大袈裟に褒めてくれる彼なのに、真顔のまま、ずっとビオレッタを見ているだけなのだ。
「ラウレル?」
呼びかけても、反応がない。
全然、ぴくりとも動かない。
「……ビオレッタちゃん、大丈夫。多分ラウレルは気を失ってるんだわ」
「目を開けたまま!?」
信じられないことだが、ラウレルは気を失っているらしい。
待ち望み過ぎたビオレッタの花嫁姿を見て、あまりの嬉しさに意識を手放してしまったのではないか。というのがカメリアの見解だ。そんな馬鹿な。
ビオレッタはなんとか花婿の意識を取り戻そうと、彼の腕を揺さぶった。
「ラウレル、起きて、お願いよ」
「……ビオレッタ」
お陰でラウレルは意識を取り戻したが、至近距離にいる花嫁姿のビオレッタを見ては、再び強い衝撃を受けているようだった。
よろよろとよろめいて壁に寄りかかると、幻を見るように目を細める。
「これは夢?」
「現実よラウレル。そろそろ教会へ行かないと」
「そうか、現実か……これは現実……」
壁にもたれかかったまま動こうとしないラウレルの手を引くと、逆に手を引き寄せられた。
そのまま、ビオレッタはラウレルの胸へとすっぽり収まる。
「ビオレッタ……夢のようにきれいだ」
彼の甘い言葉と蕩けるように幸せそうな顔が、ビオレッタの胸に真っ直ぐ刺さる。
こんな自分でもラウレルを幸せに出来るのだと……彼の喜び様は、そんな自信を植え付けてくれるようで。
「ラウレル、私、幸せだわ」
ビオレッタは花のような笑顔を彼に向けた。
ラウレルも、眩しいほどの笑顔でそれに応えたのだった。



