ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~

 指輪を売り込む商人に、なんとラウレルは即決してしまった。いくらするかも分からない指輪を、当たり前のように買おうとしている。

「駄目です、ラウレル様! こんな高価なものいただけません」

 ビオレッタが断ると、指輪の商人も負けじと口を開く。

「それでは、勇者様からお代はいただきません。ですからお嬢さん、この指輪を指に」

(な、なぜ……?)

 この商人は、こんな高価なものをタダでビオレッタに贈ると言う。
 初対面の商人からそんな贈り物をされる意味が分からず、ますます受け取れないで尻込みしていると、

「それではうちからはこの金の首飾りを」
「私はこちらのシルクを」
「このペアの食器も」

 あっという間に他の商人達からも品物を持ち込まれ、ビオレッタの両手には贈り物が積み上げられてしまった。
 左手の指には、いつの間にか先程の指輪もはめ込まれている。

 困った、どうすれば。
 ビオレッタは再び助けを求めて、ラウレルを見る。
 
 
「これは……断っては、逆に失礼です。ここはいただいておきましょう」

 ラウレルはビオレッタに耳打ちをした。
 確かにこの雰囲気の中、断っては……

「み、皆様、ありがとうございます。とてもうれしいです」

 ビオレッタが感謝の気持ちを込めて深く頭を下げると、彼らからふたたび歓声が上がった。